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Book Guide



 

■ビジネスマナー
マナーこそが仕事の本質なのかもしれない
お仕事のマナーとコツ (暮らしの絵本)
●西出博子、伊藤美樹著
●学習研究社 2006年3月
●1260円(税込み) 4-05-403058-0

 イラスト満載のビジュアル、すぐに読み切れそうなコンパクトさ。しかし侮るなかれ。本書はかわいらしい外見とは裏腹に、仕事をするうえで重要な心構えがしっかりと書き込まれた骨太な1冊だ。
  内容はタイトルのとおり、仕事で守るべきマナー、仕事を進めるためのコツの解説である。ただし単なるマニュアル本ではない。著者は前書きにおいて「マナーとは、“相手の立場に立って物事を考え行動すること”。誰もがこのマナーを身につけていれば、トラブルは起きない」としている。さらに、マナーとコツとは仕事を「愉しく」するものだとも。マナーというと、仕事の本質とは離れた表面上の約束事のように思う人がいるかもしれない。しかし本書を読んでいると、マナーは仕事の本質と直結するものなのだと思えてくる。
  とはいえ、仕事の各場面におけるマニュアルとしても使える内容だ。一般常識人(?)を自負しているわたしだが、読みながら何度も「そうだったのか!」とうなずいてしまった。例えば、自社に常駐しているパートナー社員さん。ほかの会社の人に向かってその人のことを話すとき、呼び捨てにするべきか敬称を付けるべきか、あなたは明確に説明できるだろうか?
  「コミュニケーション能力とは(中略)他人と会話しようとする姿勢の有無」「仕事とプライベートはつながっている」「家を出たときから仕事は始まる」など、一見当たり前なことだらけの「お仕事10か条」にはっとする人も多いだろう。
  電話の取り次ぎ方や名刺交換などの基本的なことから、社内恋愛と職場結婚のルール、今後も一緒に仕事をしたい人へのスマートなあいさつの仕方など、生きた仕事の知恵が詰まった1冊だ。新入社員はもちろん、すべての若手にお薦めしたい。(@IT自分戦略研究所 長谷川玲奈)

クイズ形式でビジネススキルを鍛える
大人の仕事ドリル
●池田輝久著
●ダイヤモンド社 2007年5月
●1365円(税込み) 4-4780-0131-6

 本書はドリルを解きながらビジネススキルを鍛えることができるようになっている。ドリルなんて小学生時代の計算ドリルや漢字ドリルのようだが、まさしくそのとおり。思考の反復訓練である。ドリルは簡単な3択クイズとなっており、セクションごとに正否と解説がある。「くどくどと説明を読むのはおっくうだ」と読書があまり好きではない人でも楽しみながら読み進めることができそうだ。
  ただしマニュアル的なマナー指南の本ではない。より実践的で具体的なシチュエーションを想定し、どのような選択肢がどういう理由で望ましいかを解説している。最低限のマナーではなく、ビジネスで効力のあるスキルを磨くことができるだろう。
  例えば初級編では「トラブル報告のために取引先に行かなくてはなりません」というシチュエーションがあり、(a)30分前に到着して先方の受付で待つ、(b)30分前に行くが、5分前までは別の場所で調整する、(c)少し前に到着するようにする、という選択肢がある。
  解説では「トラブルの結果報告をする時に最も大事なことは、“申し訳ない”という気持ちが相手に伝わることです」とある。約束時間前の到着はビジネスマナーとして当然のことであり、さらに効果を持たせるには早く到着すること、それを相手に分かるようにそれとなく伝えることとなる。そのため解答は(a)=5点、(b)=3点、(c)=1点で、(a)が最高得点となっている。
  そうはいっても現実は複雑なので答えは1つとは限らない。本書の答え以外の行動が最善となる場合もあるだろう。だが本書は「こういうとき、どうする?」と読者に考えさせることで実践力を鍛えられるようになっている。(ライター・加山恵美)

社会人の基礎スキルを固めよう
デキる人になる 報・連・相入門
●山口真一著
●かんき出版 2007年3月
●1365円(税込み) 4-76126-412-8

 社会人(ビジネスパーソン)としてビジネスマナーは早いうちにきちんとマスターしておきたい。数年ほど社会人を経験していれば自ずと身に付くこともあるが、周囲から学ぶだけでは社風や構成員により多少の偏りが生じることもあるだろう。一般的なビジネスマナーではどういう行動を取るべきか、一度はひと通り確認しておくといい。
  これまでビジネスマナーを訓練する機会がなかった新人に本書はいい教材になるのではないだろうか。本書は小型で薄く、ポイントごとに簡潔にまとまっており、イラストもあり親しみやすい。入門編としてはうってつけだ。
  本書ではビジネスマナーの基本、「報・連・相」の必要性から説く。時にはありがちなNGパターンを例示し、何がいけないのか、どうすべきかを解説する。例えば上司への連絡でダラダラと途中経過を述べるのでは時間の無駄になる。結論を先に述べることの重要性をきちんと説明している。
  あえていうことではないが、会社は組織であり、構成員の間で必要な情報を効率よく共有していく必要がある。たとえ後に独立するとしても、ビジネスを続けていくなら、取引先の相手と円滑にコミュニケーションをするためのビジネスマナーは重要だ。
  ビジネスマナーには良しあしはあるが、資格試験のように合格も不合格もない。多くの人が毎日のやりとりから少しずつ学んでいくものだ。ビジネスマナーを身に付けておけば、日々の仕事だけではなく転職でも有利に働く。もし別職種や別業界に転向したとしても、ビジネスマナーは自分にとって大事な財産となる。ビジネスマナーは日々磨いておこう。(ライター・加山恵美)

コンプライアンスのおとぎ話
ウサギはなぜ嘘を許せないのか?
●マリアン・M・ジェニングス著、山田真哉監修、野津智子訳
●アスコム 2006年11月
●1029円(税込み) 4-7762-0356-1

 本書はコンプライアンスという、実務的なテーマを小説という形で表現している。しかも人間並みの背丈があるウサギが登場し、まるでおとぎ話のようでもある。
  だがコンプライアンスの根幹に必要な姿勢を説いている。もしかしたらビジネスだけではなく人生全般に応用できるかもしれない。本書を読んで「コンプライアンスで何が重要か」理解できなければ、もうコンプライアンスの理解は諦めた方がいいかもしれない。それほど本書はシンプルに重要なテーマを突いている。
  コンプライアンスは日本語では「法律順守」と訳される。だから「法律は守った」ことを後から証明できるようにすることに目がいきがちだ。もちろんルールを守ることは重要だ。だが、それだけでは十分ではない。
  物語では、途中で会計担当の主人公に若いエンジニアが相談に訪れる。自社製品に人命にかかわる欠陥が判明したが、追加予算を投入すれば対策が可能であるというのだ。これを自分の立場で考えてみよう。正直に上司に相談する勇気があるか。追加の支出を捻出する勇気があるか。もしそれを怠ったらどういうことが起きるか。
  正直な行動を選ぶと時として自分に不利益をもたらす。上司から批判されたり、ライバルに追い抜かれたりするなど、後悔することもあるだろう。だがズルをして先を走るライバルは「単なる短距離走者だ」と本書は指摘する。
  「正直者はいつか成功する」と本書は説くが、残念ながら現実はその保証はない。ただし良心を持つ人間であれば後ろめたい気持ちで生きるよりは、正直な方が心の重荷が少なくて「楽」なのだ。これは確かだ。(ライター・加山恵美)

ビジネスマナーをバージョンアップしよう
できる人のビジネスマナー――無理しない、だけどキマっている
●奥谷禮子監修、ザ・アール教育事業部著
●亜紀書房 2005年2月
●1100円+税 4-7505-0422-X

 ビジネスマナー書の中でシンプルさとセンスの良さが目を引く1冊だ。マナーを形式的に「覚える」のではなく、適切な判断ができるように「理解する」ことができる。ある程度社会人経験を積んだ人がマナーをおさらいし、いっそうのセンスアップに役立てるといいだろう。もちろん、新入社員が読んでもいい。
  会社や雇用形態により多少の差はあるだろうが、誰しも新入社員のときにはビジネスマナーを一通り学んだことだろう。例えば電話の受け答えや名刺交換の方法など。だが「名刺を尻ポケットに入れてはならない」と指導されたのに、しばらくして忘れていることはないだろうか。
  ここではマニュアルのように詳細な解説はしないが、より正しい作法に近づけるヒントが随所にある。名刺は名刺入れに「上下逆さまに入れておくと、最初から相手にとって見やすい方向になっているのでスピーディーです」、さらに「名刺入れを、名刺のお盆として使うのです」などを覚えておくと、マナーがワンランクアップしそうだ。ちょっと振る舞いに気を付けるだけで相手に与える印象を変えることができるだろう。
  マナーで大事なのは教えられた形式をただマネすることではなく、仕事相手に良好な印象を持ってもらうことが本質だろう。相手への配慮や敬意をどう体現し、実践していくにはどうしたらいいか、そのための数々が本来あるべきマナーといえるだろう。
  センスの良いマナーを体現するにはどうしたらいいか、さらにビジネスの上でマナーをどう生かし、どう結果につなげていくかを本書で学ぶことができる。再度機会を与えられるような仕事の断り方、逆に断られても次の機会につなげるための引き際のテクニックなども役に立ちそうだ。(ライター・加山恵美)


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