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第17回 現役ITコンサルタントが語る! ITコンサルタントへの最短距離

ITコンサルタントとして活躍する元エンジニア5人に話を聞き、「ITコンサルタントになるために、エンジニアはいま何をするべきか」を探り出す。

  エンジニアからITコンサルタントになった人、共通するマインドは?

ウルシステムズ
シニアコンサルタント 野村俊介氏
ウルシステムズ
シニアコンサルタント 成山孝氏
ウルシステムズ
シニアコンサルタント 植田昌司氏
ベリングポイント
テクノロジーソリューション
マネージャー 福谷篤元氏

 前回はコンサルティング企業に話を聞き、ITコンサルタントに必要な資質、エンジニアから転身するための方法を考えた。今回は、ITコンサルタントとして活躍する元エンジニア5人に話を聞き、エンジニアがITコンサルタントになるために必要なものをさらに追う。

 エンジニアからのステップアップを果たしたITコンサルタントには、共通する2つの要素がある。第1に、「こういう仕事がしたい」という思いで転職した結果、たまたまITコンサルタントという職種に行き着いた点。第2に、「過去の失敗を経験に変える」というマインドを持っている点だ。

 現在、ウルシステムズでシニアコンサルタントとして活躍する野村俊介氏、成山孝氏、植田昌司氏は、「パッケージありきの提案に限界を感じた」「自分のスキルをもっと伸ばす環境に行きたい」「より顧客に近いところで提案し、評価を得られる環境で働きたい」ということがステップアップのきっかけだった。野村氏は前職、パッケージベンダで導入・開発を担当していたが、「本当に顧客のためになっているのか」という疑問があった。少年時代からコンピュータに親しみ、大学でオブジェクト指向を学んだ成山氏は、職場での信頼は厚かったものの、「これに甘んじては、いつか限界が来るのでは」という危機意識が芽生えた。植田氏は、元請けの大手システム開発(SI)会社に勤務していたが、プロジェクトが大規模になるにつれ、顧客との距離を感じるようになった。

 ITコンサルタントとの出会いがきっかけになるケースもある。ベリングポイント テクノロジーソリューション マネージャーの福谷篤元氏は、「転職前にかかわっていたSAP導入プロジェクトで、ERPコンサルタントの方と仕事する機会があり、その仕事量や視点の持ち方に感服しました」と述べる。エンジニアにとってシステムとは、開発対象つまり「目標」だが、ITコンサルタント/ユーザーにとってそれは「手段」である。システムありきではなく、自分の頭で問題を考え、よりニーズに合ったものを提案する――こうした仕事に感銘を受けた。

 アビーム コンサルティングの伊東要平氏は、前職で大手電機メーカーに新システムを提案する機会に恵まれたのがきっかけだ。「それまでは、IT部門や元請けSI企業のエンジニアの方としか触れ合っていませんでした。経営層やエンドユーザーなど、さまざまな方が同じ問題をどのようにとらえているかをヒアリングし、あいまいなものだった『解決策』を具体化する過程に興味がわいたのです」(伊東氏)

アビーム コンサルティング
金融統括事業部 マネージャー
伊東要平氏

 「失敗を経験ととらえ、より良い結果を生み出す」マインドについて。伊東氏は、前職時代、「3カ月間、2回しか帰宅できなかった」という火を噴いたプロジェクトに参画した経験を持つ。プロジェクト開始当初から「おかしい」と思うことが多かったが、それを表に出せなかったそうだ。プロジェクトの途中で問題点が明るみに出て、顧客企業に説明したがトラブルとなってしまった。その際どういうルートで話を持っていくかなど、コミュニケーションの手法についてさまざまな教訓を得たそうだ。

 その経験があってこそ、現在プロジェクトを指揮する立場として、コミュニケーションの取り方に細心の注意を払うようになった。ウルシステムズの植田氏も、「困難なことを経験してきたからこそ、プロジェクトで問題が発生したとき、その問題解決ができるのです」と熱く語る。

  いま、やっておく2つのこと

 では、ITコンサルタントを目指すエンジニアがしておかなければならないことは何だろう。これも大きく2つあり、第1に「目の前のことをしっかりやる」、第2に「ITスキルを磨く」ことだ。

 ウルシステムズの野村氏は「転職したらITコンサルタントとしてのスキルを嫌でも身に付けなくてはなりませんが、いまの仕事は未来永劫できなくなります。先走るのではなく、現在の仕事をしっかりやる方が重要です」と釘を刺す。

 具体的にはどういうことか。例えばアビーム コンサルティングの伊東氏の場合、「経験を基に、自分なりに『高品質を保つ開発ノウハウ』『チームマネジメントにおいて重要なポイント』などを作り上げました」という。これは面接の際、強力なアピールポイントになったそうだ。

 ベリングポイントの福谷氏は、フリーエンジニア時代、仕様書や設計書に書かれていない「ユーザーの要件」を探り、「なぜこの機能が必要なのか」「なぜこのような設計が最適なのか」を学んだという。ITコンサルタントとしての視点を持つために、プロジェクトで接するITコンサルタントからのヒアリングを欠かさなかったのだ。

 次に、IT技術を磨くことについて。アビーム コンサルティングの伊東氏は、「顧客から『どんな方法がありますか』と聞かれたときに即答できるのは、ITのバックグラウンドがあるおかげです」と断言。またウルシステムズの成山氏は、「理想や抽象論ではいくらでも解決策を出せるが、ITコンサルタントの真髄が問われるのは、それが実現できるかどうか。例えば、マスターデータの一元化は、どの企業でもソリューションとなり得ますが、実際に行うには、各システムの特性や業務体系によって制約が出てきます。その落としどころを提示できるのが、良いITコンサルタントなのではないでしょうか」という。

 IT知識は、経営層・エンドユーザー・IT部門という三者の橋渡しをする際にも重要だ。例えば、ベリングポイントの福谷氏は「一般には、TCP/IPとか、固定長・可変長ファイルの違いについて知っている方は多くありません。しかしITコンサルタントは、技術的にどういうことができれば、業務上どのようにインパクトがあるのか、例を挙げて説明しなくてはなりません」という。このため、ネットワーク、ハードウェア、システム基盤、アプリケーションに至る幅広い知識があった方がいい。そうした総合的な知識を付けるには、エンジニアである現環境が大いに役立つはずだ。

 こうしたスキルを持ってITコンサルタントへの転身を図る際に有効なのが、人材紹介会社や転職情報Webサイトだ。ただ、「中には職歴だけを重視して転職を勧めてくるキャリアコンサルタントもいるので、注意が必要」(アビーム コンサルティング 伊東氏)という。これを防ぐには、「やりたい仕事」と「その仕事ができる企業」について、具体的なイメージを持っておく方がいい。こうした戦略性も、ITコンサルタントを目指すには欠かせないだろう。

  見た目ほど「カッコよくない」ITコンサルタント

 ITコンサルタントの現場とはどのようなものか。全員が口をそろえていうのは、「イメージほど格好良くはない」ということだ。「顧客企業にとって、問題点を指摘されるというのは、決していい気分のものではありません。そうした問題点を洗い出し、解決策を考え、提示する仕事には、泥臭い作業も必須です」(アビーム コンサルティング 伊東氏)

 顧客とコミュニケーションを取る際、あえてまじめな態度をくずして信頼を得ることも多いようだ。ウルシステムズの植田氏は、「例えばメールで、『申し訳ございません』と書くところを、『ごめんなさい』とくだけた文体にしてみる、就業時間後のコミュニケーションで家族のことを話題にするなどして、相手との共通点を探りながら、信頼関係や親密度を上げていきます」という。

 また、いかにITスキルに長けたITコンサルタントでも、提案するシステムが「技術追求型の自己満足」に陥ってはいけない。コストや稼働後の業務プロセスを考え、あくまでも「最適なもの」を提案するのが仕事なのだ。

 そんなITコンサルタントとエンジニアの最大の違いは、「折衝する担当者、そして顧客からの期待値」だという。前述したように、ITコンサルタントへはあらゆることに対して「即答できる」という暗黙の期待値がある。加えて、顧客には思いもつかない視点を持つことも期待される。やりがいは大きいが、責任も重大ということだ。

 だからこそ、全員が一様に「イメージだけでITコンサルタントを目指すのは間違い」と断言する。「現在の環境で精一杯努力し、スキルを高めて挑戦するのが、ITコンサルタントへの最短距離ではないでしょうか」(ベリングポイント 福谷氏)

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第1回:NGN時代を生き残るネットワークエンジニアとは?〜NEC編〜
第2回:2008年版:これが成功するITエンジニア像だ!〜マイナビ転職編〜
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