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PR:技術力と企画力で「売り上げに貢献する」楽天のエンジニア

ITエンジニアが技術力や企画力を駆使して、業績向上にじかに貢献している企業がある。国内最大級のインターネットショッピングモールを手掛ける楽天だ。ネットショッピング以外にも多種多様なサービスを展開する同社において、ITエンジニアはどのような役割を担っているのだろうか。

  ITエンジニアの強さが、好業績に大きな影響を与える

楽天 開発部 新サービス開発運用1課 課長の坂本亮氏

 世の中、不況不況と騒がしいが、業績を伸ばし続けている企業はある。中でも、注目を集めているのが楽天だ。1997年、インターネットショッピングモール「楽天市場」を開設して以来、ネットサービス市場のけん引役として、次々に新サービスを開発してきた。売上高で見ると、2004年から2008年の4年間で約5倍強という飛躍的な伸び(参考:財務業績情報 年度別業績推移)を示す。「100年に1度の不況」といわれる現在もその業績が伸び続けているのは、周知のとおりだ。

 そんな同社の成長に大きく貢献しているのが、同社に在籍しているITエンジニアである。楽天の場合、一般的なSIerやソフトハウスのように、ソフトウェア開発やシステム構築を事業にしているわけではないが、「システム構築技術を使ってビジネスをドライブしていく」という意味で、ITエンジニアの果たす役割は非常に大きい。例えば、店舗画面のインターフェイスについて。消費者が一度でも「使いにくい」と思えば、二度と「楽天市場」を訪れないということもあり得るのだ。

  先端技術とビジネスを結び付けるITエンジニア

 「社内には、ITエンジニアの技術力や企画力を存分に発揮できる文化があります」。楽天 開発部 新サービス開発運用1課 課長の坂本亮氏は語る。ポイントは2つだ。

 1つは、同社の技術戦略の中核を担う楽天技術研究所の存在だ。

 楽天技術研究所は、本連載15回「Rubyで広がるエンジニアの可能性」に登場したまつもとゆきひろ氏もフェローとして参画している楽天のR&D部門だ。この部門の使命は「今後大きく成長すると見込める技術のシーズから、インターネットを活用した人々の生活(リアリティ)を豊かにする新しいサービス・事業の可能性を創出する」ことであり、Rubyを応用したシステム構築にとどまらず、さまざまな先端技術の検証を行っている。国内の大学や大学院などの研究機関と連携し、技術シーズの可能性を探っていることも特徴だ。

 もう1つは、事業担当者とITエンジニアがプロジェクトチームを組み、アイデアを出し合いながら開発を進めていく体制が確立していることだ。開発部門とはいえ、常にコードを書いているわけではない。マーケティングの知識を駆使し、事業の収益構造に配慮してシステムを「企画する」ことが求められるのだ。そのため、同社のITエンジニアの職種は、事業部に近い「プロデューサー」とサービスごとにアプリケーションを開発する「アプリケーションエンジニア」、システム全体のアーキテクチャや運用を担当する「システムエンジニア」と、大きく3つに分かれている。

 そして、当然ながら、楽天技術研究所の研究成果を開発部門にフィードバックし、新技術の実稼働を進めることもある。開発部門には、技術1本で勝負するITエンジニアだけでなく、先端技術を実ビジネスに結び付ける役割を担う、まさに「技術力」と「ビジネススキル」の両方を有するITエンジニアもいる。開発部には多種多様なITエンジニアが必要なのだ。

 先端技術の応用例でいえば、楽天のレコメンデーションエンジンが挙げられる。レコメンデーションエンジンといえば、顧客ごとの類似パターンを参照して類似商品を提示する「協調フィルタリング」が有名だが、楽天でもレコメンデーションエンジンを導入して成果を上げている。ただし、楽天全体で見た場合、数千万点に上る多種多様な商品があり、出店している店舗ごとに同じ商品でも表記方法や推奨コメントがバラバラだったりと、レコメンドの精度を上げるのは難しい。そこで、「0-HO」(れいせんほう)という独自アルゴリズムを開発した。0-HO(れいせんほう)とは、「商品名」と「商品項目」(CDや書籍といった形態)を表組み形式でクロスさせ、同類商品をグルーピングしていく方法のこと。項目の割り出しには、事業部門の意見も取り入れた。

 また、開発部門主導で進めたサービスには、楽天Web APIの開発や、Adobe AIRを使ったフォトアップローダーの開発などが挙げられる。いずれも、楽天のサービスを、多様なネットサービス/インターフェイスを通じてユーザーに簡単に使ってもらうことを目的に開発された。こうしたアイデアを「ITエンジニア主導で実行できる」というのは、一般のSIerやソフトハウスではなかなか体験できない醍醐味だろう。

  必要なのは、責任感・プレゼンスキル・そして幅広い技術力

 坂本氏が現在関心を寄せているのは、キー・バリュー型データストアの技術だ。これは数千万におよぶ会員や商品情報のデータを、複数のPCサーバの物理メモリにキャッシュして利用するための技術で、動的Webページを生成して提供するサービスプロバイダが最も関心を寄せている技術である。

 楽天も、データベースのパフォーマンスや安定性を保持するために、この技術を導入している。「いままで、大量のデータを高速処理し、可用性を上げるために、いろいろな取り組みを進めてきましたが、この技術の導入により、より新しい機能開発にリソースを割けるようになります。開発効率も上がります」と坂本氏はいう。

 こうした新しい技術を取り入れ、ビジネスにつなげていくには、どのようなスキルが必要なのだろうか。坂本氏は「新しい技術を採用することには、既存の技術や機能と比較しなくてはなりません。そのため、既存の技術はひと通り経験していることが必要かと思います」と述べる。

 さらに、「新しい技術を採用するに当たっては、会社としては『それでどれだけ売り上げが上がるのか』を見るわけですから、ビジネス的な視点で自分の意見をプレゼンテーションするスキルも必要です」(坂本氏)。ITエンジニアの中には、プレゼンテーションや自己主張が不得意なタイプもいるが、同社のように「ビジネスを加速させる」ITエンジニアが求められている場では、技術力と同じくらいにビジネススキルも必要だ。

 ちなみに、こうしたスキルが求められるのは、決して「楽天だから」というわけではない。確かに、SIerやソフトハウスの世界では、クライアントを頂点に、コンサルタント、アーキテクト、プログラマと階層的なシステム開発プロジェクトが組まれるケースが一般的だが、さまざまな形態のサービスプロバイダが登場するにつれ、開発プロジェクトはかなりフラットなものになっている。新進サービスプロバイダだけでなく、インターネットを活用しようとしている一般企業も、こうしたフラットな開発を進めているようだ。

 そして、自由に仕事ができるということは、裏を返せばそれだけ責任も重いということでもある。楽天の場合なら「売り上げに貢献する」ことが期待されていることに加え、エンドユーザーからの評価もダイレクトに受け止めなくてはならない。「その分、新しい機能をリリースすると、家族や友人から『使いやすくなったね』といわれることもあります。たくさんの人からの反応が返ってくるのは、とてもうれしいし、やりがいがありますね」と坂本氏はいう。

 坂本氏自身、かつてはSIerに所属していたが、「もっとエンドユーザーに近いところで仕事がしたい」と思い、楽天に入社したそうだ。「やりたいことをやるには、その意見をきちんとまわりにアピールしなければなりません。そして、責任を持って自分が行動できるかどうかも重要です」と坂本氏はいう。次の時代を担う意欲に燃えるITエンジニアは、この言葉を重く受け止めてほしい。

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