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マイナビ転職×@IT自分戦略研究所「キャリアアップ 転職体験談」

第12回 技術的な刺激を求め、SIマネージャから転身したドワンゴ開発者

  SI企業のマネージャから、Web企業の開発エンジニアへの転職

「転職には興味があるが、自分のスキルの生かし方が分からない」「自分にはどんなキャリアチェンジの可能性があるのだろうか?」――読者の悩みに応えるべく、さまざまな業種・職種への転職を成功させたITエンジニアたちにインタビューを行った。あなた自身のキャリアプラニングに、ぜひ役立ててほしい。

清水俊博さん

【今回の転職者】 清水俊博さん(31歳・入社2年目)
株式会社ドワンゴ
ニコニコ事業本部 企画開発部
第2開発セクション エンジニアグループ
【転職前】
RFIDミドルウェアおよびそのミドルウェアを使用したアプリケーションの開発/開発言語:Java

 ↓
【転職後】
売上・費用管理などの社内システムの開発/開発言語:Java
ニコニコ動画モバイル(Web)の入退会・課金システムの開発/開発言語:PHP

 例えば、あなたがエンジニアとしての腕を評価され、マネージャに任命されたとしよう。

 だが、周りには自分に技術を教えてくれるほどスキルの高い人がおらず、あなたの技術面での向上心を満たしてくれる環境がそこにはない――そんな時、あなたはどうするだろうか。

 清水俊博さん(31歳)は、この状況に直面したときに「転職」という道を選んだ。「常にエンジニアとして技術を磨きたい」と考える清水さんにとって、技術的な刺激を得られる環境は重要だった。

 現在、清水さんは、ドワンゴでニコニコ動画モバイルの課金システムを担当している。転職を決めたきっかけは「社外とのつながり」にあった。

  中堅SIerで、RFIDの開発プロジェクトに従事

 清水さんは大学を卒業後、中堅の独立系システム・インテグレータ(SIer)に新卒入社。客先常駐をしながら、Javaを用いてRFID(電波認識方式)ミドルウェア開発に取り組んだ。

 清水さんが手掛けていたRFIDは、世界の標準規格に準拠した日本初のRFIDミドルウェアだった。「最先端の技術に関わっている」という自負を持つことができ、技術的にも面白さを感じていたという。

 入社して2〜3年が経過してからは、ミドルウェアを用いたユーザー向けアプリケーションの開発に従事した。客先常駐から戻ってきてからは、「アーキテクト」という立場に昇格し、部下の指導・教育といったマネジメントにも携わるようになった。

 仕事は面白かったし、会社には能力を認められていた――しかし、清水さんは次第に「物足りなさ」を感じるようになっていったという。

  「BtoCへの憧れ」と「技術的な刺激」を求めて転職を決意

 清水さんが「物足りなさ」を感じていた理由の1つは、BtoBの開発という点にあった。BtoB開発の場合、自分が開発したシステムを自分で使わず、クライアント企業に納品して終わりというケースがほとんどだ。「ですが、私は自分が使いたいもの、自分が使って楽しいものを作りたかったのです」――清水さんは語る。BtoCの開発に携わり、ユーザーから生の声や反響をもらいたいという気持ちも、大きくなっていった。

 もう1点の物足りなさは「技術的な刺激が少ない」ことだった。

 「社内で評価され、マネジメントにも携わるようになったことで技術を教える立場にはなりました。と同時に、周りから教わることはほとんどなくなっていました」

 職場には、面白い技術を見つけて誰かに話しても、共感したり話に乗ってきてくれる人がいなかった。そこで清水さんは、もっと技術的に刺激を受けられる職場を目指し、転職を考え始める。

 もともと清水さんは転職志向が強く、新卒入社当時から1つの企業に定年まで勤めるという考えはあまりなかったそうだ。変化のスピードが速いIT業界で、10年後に業界自体がどうなっているか、自分がどのような会社に勤めているかを想像するのは難しいと、清水さんは話す。

 「会社がなくても個人名で仕事が取れるようになっておきたいと思っていました。だから次のステップに行くべきだと思ったんです」

 

勉強会に参加して、ドワンゴの魅力を知る

 社内では技術的な満足を得にくいということで、清水さんは社外の勉強会に積極的に参加するようになる。中でも頻繁に参加していたのが、Javaのエンジニアが集まる「java-ja」である。そこでドワンゴのエンジニアたちと知り合って話すうちに、「ドワンゴなら転職したい」と思うようになった。

 理由は主に2つあった。まず、清水さん自身が、ニコニコ動画をはじめとしたドワンゴのサービスのユーザーであったこと。そしてドワンゴが、「“情報強者”もしっかり納得してお金を支払うサービス」を提供している、数少ない会社だと評価していたことだ。

 さらに、先進的な技術を積極的に取り入れている点や、エンジニアにとって働きやすい環境を作ろうとしている会社の姿勢にも魅力を感じた。会社見学を経て、清水さんはドワンゴに応募。Java開発のスキルを評価され、社内システム担当のエンジニアとして無事、内定を獲得した。

 高い技術を持つエンジニアが集まる会社へ転職できることへの期待は高かった。しかし、それゆえの不安もあったという。

 「前の会社よりも明らかにスキルレベルが高いので、自分のスキルが通用するかという不安はありました。とはいえ、最後は『現場で一番できない人でいる方が成長できる』と開き直ってもいましたね」

 マネージャ職を辞め、エンジニアチームの一員として、清水さんは2009年1月にドワンゴへ転職する。

  ユーザーの生の反応とアジャイル型開発のメリットを実感

 清水さんはドワンゴでまず、Javaを使っての売上・費用管理などの社内システム開発に取り組んだ。前職ではStrutsやSpring Frameworkなどのフレームワークを使う機会しかなかったが、ドワンゴでは清水さんが好んで使っていたWicketを使っていた。こうした点からも「技術へのこだわりがうかがえた」と、清水さんは語る。さらに、転職を機に開発スタイルもウォーターフォール型からアジャイル型へと変化した。

 1年後、社内システムのプロジェクトが一段落すると、BtoCのサービスを手掛ける「ニコニコ事業本部」に異動。「ニコニコ動画モバイル」のWeb担当エンジニアとして、会員の入退会や課金システムの開発に関わるようになった。開発言語は未経験のPHPに変わった。だが、技術的な面で一通り慣れるまでには、それほど時間は掛からなかったという。

 また、念願のBtoC開発に携われたことについて、清水さんはこう語る。

 「新機能を投入すると、Twitterや2ちゃんねるなどですごく正直なユーザーの反応が返ってきます。良い意見も悪い意見も含め、非常に勉強になって面白いですね。また、ニコニコ動画の有料会員約130万人のうち多くは、モバイルでキャリア課金をしています。ユーザーの数が多いため、責任の重さと同時にやりがいを感じています」

 清水さんは、仕事のやり方についても、「問題解決の方法」が変わったと指摘する。

 SIerでは、元請け企業とクライアント企業、さらに下請け企業と、複数の企業がプロジェクトに関わる。そのため、何か問題が起きると「誰に責任があるか」という、問題解決の本質からはずれた話になってしまうことが多々あったという。

 しかし自社サービスをエンジニア自らが手掛けるドワンゴでは、何か問題が起きれば必ず、「問題vs.エンジニアたち」という形で、全力で問題解決に取り組める。このことが、清水さんにとっては魅力だったそうだ。

  成長を続けるには、好奇心を強く持ち続けることが必要

 清水さんがドワンゴに転職したのは「技術的な刺激を得られる職場で、仕事がしたい」という理由だった。その希望は十分に叶えられているようだ。むしろ、「皆が技術にすごくこだわりを持っているため、それぞれが『こうした方がよりよいのでは』という意見を持っています。なので、意見を1つに集約しなくてはいけない時などは、まとめるのが大変なんです」と笑って答える。

清水さん「エンジニアとして成長するには
“好奇心の強さ”が不可欠」

 常に技術的な刺激を得られる環境には、エンジニアとして成長し続けられる機会がある。

 「エンジニアとして成長するには“好奇心の強さ”が必要不可欠だと思うんです」

 子どもが「時計はどうやって動くんだろう」という疑問を持ち、分解してその仕組みを調べるのと同じように、ソフトウェアに疑問を持ったらすぐにソースコードを調べてみる――そういった好奇心こそが、エンジニアを成長させるのだと、技術志向が強い清水さんは語る。

 「ドワンゴには『エンジニアは常に勉強し続ける』という風土があります。誰かに教育してもらおうというのではなく、自ら勉強し続けたいというエンジニアたちに囲まれていることは、とても良い刺激になっています」

 清水さんには、「いつか、世界を変えるようなものを生み出したい」という夢があるそうだ。そのため、日々新しい技術を学ぶことは「夢に近づくためのステップ」なのだという。

 そんな清水さんが、今最も興味を持っているのがNode.jsだ。昨年からは「Node.js日本ユーザグループ」というコミュニティを作って、勉強会の主催や執筆などを行っているという。

 「いずれはNode.jsを用いて、革新的なWebアプリケーションを作ってみたいですね」

●人事に聞く、清水さんの評価ポイント

 清水さんを選考する際、最も注目していた点はSIerにおける以下の経験です。ドワンゴはユーザーが求めるサービスや面白いと思うアイデアを実現しようするあまり、納期管理や進捗確認が甘くなりがちなので、納期やコスト、人員管理などをBtoB企業で厳しく経験してきたことは、われわれにとって非常に有用なものでした。

 また、ドワンゴは開発体制を急速に拡大しており、新卒採用なども積極的に行っていることから、若手エンジニアの育成が急務です。清水さんが前職でメンバーを先導してきた経験は、リーダーを求めている当社にとって重要なポイントでした。

 一方、清水さんがWebサービスに関心を持ち、ニコニコ動画が好きであったことは、応募のきっかけではありましたが、特に評価ポイントとはなりませんでした。

 マインド面では、「BtoCの環境に身を置くことはゴールではなく、あくまでスタート」という認識をきちんと持っている点を評価しました。

  「BtoCの環境に行きたい」「ユーザーのフィードバックをもらえる環境に移りたい」というSIer出身のエンジニアからの応募をよくいただきます。ありがたいことではありますが、環境の変化を目的とするだけではなく、会社が何を目指し、自分に何を求められているのかを捉えて理解する人、その上でプロジェクトメンバーが共有できるゴール像を設定できるリーダーをドワンゴでは求めています。

 さらに、清水さんは外部の勉強会などへ積極的に参加していて、視野を広げることや新たな技術の習得に意欲的なことを評価し、エンジニアとの交流を通じてリーダーとして成長できると考えました。ユーザーが求めている面白いことを清水さんと一緒に考えていきたいと思い、採用に至りました。

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