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マイナビ転職×@IT自分戦略研究所
「キャリアアップ 転職体験談」

第17回 「Webに国境はない」――ベンチャーで海外向けサービスを作り込む面白さ

「転職には興味があるが、自分のスキルの生かし方が分からない」「自分にはどんなキャリアチェンジの可能性があるのだろうか?」――読者の悩みに応えるべく、さまざまな業種・職種への転職を成功させたITエンジニアたちにインタビューを行った。あなた自身のキャリアプラニングに、ぜひ役立ててほしい。

  大手Web企業のポータル開発
→グローバル展開する調査サイトの開発

転職者プロフィール

【転職者プロフィール】大山陽耕さん(32歳)
2010年1月入社
リサーチパネルエイジア エンジニア

【転職前】
大手Webサービス企業のメディア事業部で、ポータルサイトの開発。技術:Perl
 ↓
【転職後】 中国や韓国におけるパネル調査のためのWebサイト、業務システム開発。現地スタッフとコミュニケーションを図り、要件定義も手掛ける。技術:Perl+PHP

 昨今、IT企業のグローバル展開の加速に伴い、グローバルプロジェクトに関わるエンジニアのニーズは高まっている。

 大山陽耕さんは、海外向けのマーケティングリサーチサービスを提供するリサーチパネルエイジアに転職し、エンジニアとしての可能性を広げた1人だ。

 同社は、「ECナビ」を有するVOYAGE GROUP傘下の企業で、グローバル展開戦略の中で大きな役割を占める。大山さんは現在、海外のユーザーが使うWebサイトの構築を、上から下まで担当している。

 「インターネットには国境がない。だから、日本向けのサービスにこだわらず、世界で使われるサービスの構築に関わることが楽しい」

 転職により新天地を切り拓いた大山さんに、転職を考えたきっかけと、転職によって広がったキャリアについて話を聞いた。

  米国でインターネットの可能性に惹かれる

 大山さんはもともと航空宇宙工学に興味があり、高校卒業後の1999年に単身で米国へ渡った。語学学校を経てからテキサス大学に入学し、都合6年間米国での学生生活を過ごした。

 語学学校に通っているときにちょうどブログが流行し始めたこともあり、航空工学ではなく、インターネットの世界に魅力を感じるようになったそうだ。「こんなことができるんだ、という感動がありました」――結果的に、大学では航空工学ではなくコンピュータサイエンスを専攻した。それまで経験ゼロだったプログラミングを、大学の授業で習得した。

 「実は、小学6年生のときにも1年間、ニュージーランドに留学したことがあるんです」という大山さん。留学したいけれどどうすればいいか分からなかった、という彼は、なんと自らニュージーランド大使館宛てに、留学したい旨の手紙を書き、留学への道を切り拓いたのだという。「興味を持ったことはとことん追求する」という大山さんの性格を良く表しているエピソードだ。

 大山さんは、「インターネットに携わりたい」という思いを強め、テキサス大学を卒業後に帰国して、新卒で大手Webサービス企業に入社。ポータルサイトの開発に関わることになった。

  自分の成長にとって、本当にベストな環境はどこにある?

 帰国後に入社したWebサービス企業は、「優秀なエンジニアが多数在籍していて、学べるものがたくさんあった」と大山さんは振り返る。仕事自体にも特に不満はなかったという。しかし、開発をしていくうちに、「エンジニアとしての自分の成長」にとって、この恵まれた環境がベストなのかどうかを考え始める。

 「仕事を続けていくうちに、不安のようなものを感じ始めました」

 果たして、自分はこのままここにいて、先輩たちのような優秀なエンジニアに成長できるのだろうか? 何かあれば先輩たちに頼れてしまう環境は、メリットと同時にデメリットもあった。考えた末、自分がより成長していくためには、新たな環境に身を置いた方が良いのではないか、という答えにたどり着く。

 とはいっても、すぐに転職したいと考えたわけではなかった。「よほど良いと思える会社を紹介されたら、考えよう」くらいの気持ちで、まずは転職エージェントに登録した。また、もし転職するなら「せっかく培った英語力も生かせる仕事にしよう」と考えていた。

  設立間もない会社で“すべて自分でシステムを作れる”環境

大山さん「すべて自分で作りたいタイプなので、
今の仕事が面白い」

 2009年10月にエージェントから紹介されたのが、同月に設立されたばかりのリサーチパネルエイジアだった。

 前職でのWebシステム開発経験が生かせ、海外向けのサービス開発のため英語力も生かせる。そして何よりも、設立から間もない会社であることが、大山さんの心を動かした。

 「“自分ですべて作りたい”と思うタイプなので、少数のエンジニアで新しいシステムを作ることに大きな魅力を感じました」

 同社が所属するVOYAGE GROUPの企業理念「CREED」に共感できたことも大きかった。「“挑戦し続ける”や“自ら考え、自ら動く”など、成長できるエンジニアなら誰もが持っているマインドをしっかり打ち出しているところに共感しました」

 また、面接官の海外ビジネスに対する熱い思いを聞くうちに「自分もやってみたい」と思えたことも、決め手になったという。紹介があってから1カ月半後、大山さんは見事、同社から内定通知を受け取り、2010年1月に入社する。同社設立から3カ月目のことだった。

  韓国や中国のユーザーに向けてシステムを構築する

 リサーチパネルエイジアに入社後、大山さんは韓国や中国におけるパネル調査のために利用する各種システムの開発を担当している。

 パネル調査とは、同一の調査対象に向けて繰り返し実施するマーケティング調査のことで、あらかじめ調査対象者を集めておき、調査対象者を抽出して調査を実施するのが一般的だ。大山さんはこれまでにも調査対象者をゼロベースで集めるためのWebサイト、調査対象者の抽出や集計業務を行うオペレーションセンター向けのシステムなど、いくつものプロジェクトを手掛けてきた。

 中国は国土も広く人口も多いため、パネル調査の対象者数は約50万人に上る。規模の大きなシステムだが、それでも同社ではエンジニア数わずか3名(2012年4月から4名)という体制で、開発・運用をしてきた。少数精鋭だからこそ、あらゆる領域を自分で手掛けられる。

  転職で広がった、エンジニアとしての可能性

 大山さんにとっての転職したことによる最大の収穫は「英語を使ってエンドユーザーと直接やりとりができること」だった。

 ユーザーのニーズを聞き取り、システム要件に落とし込んでいき、コードを書いて実装していくことで、最上流から下流まで、すべての工程を自分で手掛けられる。自分で道を切り拓き、すべてを自分で作りたいと思う大山さんにとっては、非常に魅力的な環境だといえるだろう。

 人数が少ないスタートアップだからこそ、上から下まですべて面倒を見られる。大山さんが転職前に感じていた「成長できるか分からない」という不安は、転職によって払拭された。

 しかし、すべて自分で作ることによって生じるリスクも考えられる。例えば、担当者以外がソースコードに手を出せなくなるといった心配はないのだろうか。その点について、質問をぶつけてみたところ、

 「“いかに少ない量のコードで、多くのことができるようにするか”を常に考えながら開発しているので、他の担当者に引き継ぐときにもすぐに内容を理解してもらうことができます」という答えが返ってきた。

 また、大山さんにとっては、英語についても同様のことが言えるのだそうだ。

 「行間を読んだり、いろいろな相手の立場を考えて言葉や表現を選ぶ日本語のコミュニケーションに比べて、英語によるコミュニケーションは非常にシンプルです。ストレートに考えを伝えられるため、少ないコミュニケーションで、相手にいち早く理解してもらえるので、仕事をする上ではむしろ楽ですね」

 「コードの最適化」と「コミュニケーションの最適化」という、互いに一脈通じるところがある価値観は、「よりシンプルに美しいシステムを作る」ことに重きを置く、根っからのエンジニア気質を持つ大山さんならではの捉え方と言えるかもしれない。

  Webに国境はない。世界中で使われるサービス開発を目指す

 「国境がないインターネット上では、1つのサービスが世界中で等しく使われるようになるべき。だからこそ、世界中で利用されるサービスを、自らの手で提供していきたい」

 今後の目標について、大山さんはこう語る。

 GoogleやTwitter、Facebookなどのように、優れたサービスは同じものが世界中で利用されている。大山さんは、「国内限定」で使われるサービスに特化していくのではなく、もっと「グローバル」に使われるサービスの開発に魅力を感じている。

 「またオープンソースソフトウェアにも貢献していきたいですね。インターネットの発達は、オープンソースソフトウェアがあってこそですから」

 まだ具体的な内容は決まっていないが、グローバル向けのサービスを作っている立場ならではの発見を基に、何らかの形で貢献できれば、と考えているようだ。例えば、中国国内の地域コードがISOで標準化されていることは、日本でもあまり知られていない。現在は、そうした情報を活用してもらうためのWebサイトを構築している段階だという。

  自分の本職はあくまで「プログラマ」

 「コードを書いているのが一番好き」という大山さんは、今後スペシャリストとして特化していくのか、それともマネジメントに挑戦したいのかを聞いた。

 現時点では、大山さんは「あくまでもプログラマとして成長していきたい」と抱負を語る。

 優れたエンジニア同士が連携しながら、質の高い開発体制を築いていけば、マネジメントは最低限のもので済む。そうした開発体制を築いていくことも、今後の目標の1つだという。

 「現状に対して常に批判的でいたい」という大山さんだけに、今後は、既存のサービスとはまったく異なる、新たなサービスが、同社から提供されるかもしれない。国境を越えて、世界中で利用されるようなサービスに挑むエンジニアのキャリアは開けたばかりだ。

●人事に聞く、大山さんの評価ポイント

 大山さんの技術力は前職の経験から、高く評価していました。そこに海外経験というプラスアルファの要素が加わって採用に至りました。

 海外経験のある人材が少ない中、大山さんの持つ経験はとても貴重なものでした。しかし、語学力は「必要条件」ではありません。むしろ私たちにとって重要なのは、常に挑戦し続け、自ら道を切り拓き、そして周囲に対して誠実でいることです。

 語学力は、あくまでも付加価値として評価しています。採用時に重視するのは技術力、そして弊社のCREEDに合致しているかどうか。この2つを満たしていることが必須条件です。

 実は、大山さんの採用に当たっては、むしろ当社が、大山さんの力を発揮できる場をきちんと提供できるかどうかが不安でした。

 しかし、新しい会社で、すべてを一から作り上げていくという当社の企業風土が、大山さんのもの作りに対する情熱に応える結果となりました。今回の採用が、お互いにとって良い出会いになったものと確信しています。

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提供:マイナビ転職
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2012年6月30日

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