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マイナビ転職×@IT自分戦略研究所
「キャリアアップ 転職体験談」

第25回 目指すは“上流”ではなく“技術の研さん”
――求道者がディー・エヌ・エーを選んだ3つの理由

「転職には興味があるが、自分のスキルの生かし方が分からない」「自分にはどんなキャリアチェンジの可能性があるのだろうか?」――読者の悩みに応えるべく、さまざまな業種・職種への転職を成功させたITエンジニアたちにインタビューを行った。あなた自身のキャリアプラニングに、ぜひ役立ててほしい。

  ディー・エヌ・エーの大人気ゲーム開発で
技術スキルの研さん

 エンジニアが自身のキャリアを考える際に、できるだけ早期に上流工程にステップアップしたいという人もいる。しかし、早ければ早いほどいいのだろうか。

 世の中には、20代でやっておくべきこと、30代でやっておくべきことがあり、年齢に応じた経験を積むべきではないのか。

 今回話を聞いたエンジニアも、自身のキャリアステップにそうした疑問を感じ、転職を通じて本来の希望を実現した1人だ。

【転職者プロフィール】
渡辺亮さん(32歳)


ディー・エヌ・エー
ソーシャルゲーム本部
ソーシャルゲーム開発部
第四グループ
(2011年3月入社)


【転職前】
Webによる企業向けeラーニングシステムの開発、営業技術、構築、顧客折衝など。開発以外の業務比率も多かった。

 ↓
【転職後】
ソーシャルゲームの開発。「農園ホッコリーナ」「ディズニーパーティ」「ドラゴノア」「Blood Brothers」などの人気タイトルを担当。サーバサイドの開発からクライアントサイドの開発にも活躍の領域を広げている。
転職者プロフィール

  早い段階で上流工程を手掛けるも
焦りを感じる日々

 前職では、企業向けのeラーニングサービスをWeb上で展開する会社で活躍していたという渡辺さん。「システムの開発から技術営業、構築、お客さまとの折衝まで、幅広い業務を担当していました」と、当時を振り返る。

 システム開発エンジニアのキャリアアップの典型的なパターンは、コーディングからスタートし、やがて詳細設計を学び、その後、基本設計や要件定義のフェイズへと進んでいく。上流工程に進むほど、顧客と折衝する機会が増え、技術営業的な側面も色濃くなっていくものだ。

 そう考えれば渡辺さんの場合も、早い段階で上流工程を手掛けるようになり、エンジニアとしてのキャリアも順風満帆のように見えたはずだ。しかし、渡辺さん自身は違った受け止め方をしていた。

 少人数の会社だったこともあり、社内に技術レベルの高いエンジニアがいなかったため、入社2年目にして技術面で先頭に立つようになってしまったのだという。他のエンジニアのコードレビューやプロジェクト管理など、いろいろなことを任されるようになり、自分の手を動かしコードを書く仕事が大幅に減ってしまった。このことが、逆に渡辺さんに焦りを感じさせ始めたのだ。

 「自分の年齢なら、まだ技術的に学ばなければいけないことが多いはず。今は、もっと技術を磨きたいという想いが強かったですね」

 しかし、周囲に技術を学べる先輩が不在で、また、使っている開発言語やシステムの仕様がマイナーだったため、たとえ最新技術を習得したとしても、それを業務に生かせる可能性も低かった。

 こうして、技術を磨くチャンスを求め、渡辺さんの気持ちは次第に転職へと傾いていく。

  ディー・エヌ・エーを選んだ3つの理由

 渡辺さんが転職先の候補として挙げたのは、いずれもネット企業だった。これまではBtoBのビジネスを手掛ける会社に勤めていたこともあり、転職後はBtoCのビジネスにチャレンジしたかった。また、技術を磨くという想いを実現するのにネット企業を選択するのは、昨今のネット企業を中心に起こる技術革新の例の多さからも自然の成り行きだった。

 そのため、具体的な転職先についても「大手の情報配信サービスサイトやSNS、ソーシャルゲームの運営会社を中心に探しました」という。

 その中で渡辺さんが選んだのは「Mobage」のブランドで数々のソーシャルゲームを提供するディー・エヌ・エーだった。

 では、同社を選んだ決め手はどのようなものだったのだろうか。理由は大きく3つあった。

 「まず、面接のスピードが他社とは全く違いました」

 驚くべきことに、一次面接の開始から最終面接の終了まで、わずか3時間程度だったという。この意思決定の速さに、渡辺さんは大きな魅力を感じた。

 そして、同社の事業領域が広いことも決め手につながった。「今後、いろいろな技術を研さんしていったとして、5年後に自分が手掛けたいサービスが今と同じとは限りません。しかし、幅広い事業展開を行っている当社なら、将来も、自分のやりたいことにチャレンジできると確信しました」これが第二の理由だ。

 そして決定打となったのが、ソーシャルゲームの開発を手掛けられるという点である。渡辺さんとゲーム開発の接点は小学生時代までさかのぼる。

  自分の中ではゲームはもともとソーシャルなものだった。

 「子どものころからゲームが好きで、小学生のころには自分でゲームを作りたいと思い始め、父親が使っていたポケコン上でBASICを使った簡単なゲームを作って遊んでいました」

 自分で使うものを自分で作るというところに面白さを感じ、次第にソフトウェア開発の魅力にハマっていった。

 大学生になると、ソフトウェア開発のアルバイトもするようになった。開発の領域もさまざまで、MS-DOS上でのC言語による開発から、Windows上でのVisuacl C++によるゲーム開発、VB ScriptやPHPによるWebプログラミングなども手掛けた。多様な技術に触れることにも魅力を感じるようになり、最新技術を探るために、自作PCでLinuxサーバを構築し、Rubyなども使っていたという。

 それと同時に渡辺さんは、コンシューマゲームやアーケードゲームを中心に、プレイヤーとしてもゲームを思い切り楽しんでいた。いつかはゲームに携わる仕事がしたいという想いは、このころからあったという。しかし、ディー・エヌ・エーが展開するソーシャルゲームと、渡辺さんがこれまで追い続けてきたゲームとの間に乖離はなかったのだろうか。

 その答えは明確だった。「自分の中では、ゲームはもともとソーシャルなものでした。実は、アーケードゲームの全国ランキングに入っていたこともあるんです(笑)。ゲームの世界のコミュニティのようなものを意識していました」

 そのゲームとは、後にコンシューマゲーム機用でも発売されたギター演奏シミュレーションゲームで、当初ゲームセンターで大人気のアーケードゲームだった。渡辺さんは、そこでランキング1桁ほどの上位に食い込んでいたという。アーケードゲームにネットワーク機能が備わり、全国のゲームセンターがオンライン接続されるようになると、オンライン対戦やランキングで競い合えるようになり、アーケードゲームを楽しむ人たちの間にある種のコミュニティが形成されていたのだ。

 すなわち、渡辺さんにとっての「ソーシャルゲーム」とは、アーケードゲームのコミュニティなどに見られる“ソーシャル”な要素を、より前面に打ち出したものという解釈だ。

 面接ではゲームに関する話題も出た。「ソーシャルゲームとは?」「身近な題材でゲームを作るとしたら?」といった質問には、堂々と持論を展開できたという。

  技術の研さんを実現し、サービスの立ち上げも経験

 念願がかなってディー・エヌ・エーに入社した渡辺さん。入社後は、同社の大ヒットソーシャルゲーム「農園ホッコリーナ」のプログラミングを担当することになる。

 「すでにサービスインしてから1年ちょっと経過していたため、定期的なイベントの企画・開発・リリース・運用が中心でしたが、ソーシャルゲームの基礎を理解するのに、とても役立ちました」

 同社には、定期的な面談を実施し、エンジニアの希望を聞き取り、キャリアプラン実現をサポートするための制度が整っている。渡辺さんも、入社から半年後の上司との面談で、新しいゲームを作りたいと希望を伝えた。

 次に担当する「ディズニーパーティ」では、希望通り、リードエンジニアとしてサービスの立ち上げから携わることができた。

 新しいゲームを立ち上げるに当たり、渡辺さんは、フレームワークの足回りに手を入れるところから着手した。

 ディー・エヌ・エーのMobageでは「MobaSiF(モバシフ)」というフレームワークが利用されている。これはオープンソースとして公開されているので、ご存じの方も多いかもしれない。Mobageの多くのゲームは2階建て構造になっており、MobaSiFの上に、各コンテンツに応じたライブラリやフレームワークが実装される。渡辺さんが手を入れたのは、この部分だ。

  さまざまな側面の技術を習得し
今後の目標はプロデューサー

 その後「ドラゴノア」を経て、2013年の4月からは、Google Playで全米売上1位を獲得したばかりの大人気タイトル「Blood Brothers」を担当している。しかも、これまではサーバサイドの開発のみだったが、同タイトルからはクライアントサイド、すなわちスマートフォンアプリの開発も手掛けている。

 実は、これも渡辺さんの希望によるものだ。定期的な面談の際に、クライアントサイドも手掛けたいと伝えたのだ。

 「ゲームの面白さを決定する大きな要素の1つにUIがあります。現在は、これまでのブラウザ型のゲームと違い、クライアント側にも多くの機能を実装するゲームが主流になりつつあり、UIの自由度も高くなっています。そのため、今後は面白いゲームを作るためにもクライアントサイドの開発に携わっておく必要があると考えました」

 サーバとクライアントの両方の技術ノウハウを習得することで、新機能の追加から検証まで、今まで以上に迅速に対応できるようになったという。

 小学生時代の憧れでもあった「ゲーム作り」に、その最先端で携わることができた渡辺さんだが、同社で学んだことや今後の目標を聞いてみた。

 「BtoCの面白さは、アクセス数やコミュニティなどでユーザーの反応がダイレクトに跳ね返ってくるところです。もちろん厳しい評価もありますが、それらも含めて成長の糧にしていけるのが魅力だと思います。

 また、自分自身も1人のユーザーとして、プロダクトを見つめていくことが大切だと実感しています。常にプレイヤーとしての目線を忘れずに、より良いものに仕上げていきたいですね。前職では、なかなかユーザー目線に立つことができませんでしたから。

 今後の目標は、ゲーム作りという点は変わっていませんが、いつか自分で企画から立ち上げていくプロデューサー的なポジションで活躍してみたいと考えています」

 数字と感性、その両者を追究する渡辺さんの手により、同社から、さらに魅力的なゲームが生まれていくことは間違いないだろう。

 

●人事に聞く、渡辺さんの評価ポイント

選考当時ゲーム開発の業務経験はないものの、Webをはじめとする開発技術と、ネットサービスを立ち上げ成長させるPDCAの挑戦をし続けている方でした。今でもよく覚えているのは、職務経歴のプロジェクトリストより、趣味や学生時代のアルバイトなど業務以外で作り上げてきているリストの方が長かったこと。とにかく未経験だったり新しい技術要素や領域へ、次から次へとチャレンジしているかのように見えました。面接の中でも「経験はなくとも、なんでも自分でやってやりたい、さらに大きな成果を出し続け成長したい」意欲がにじみ出ていました。自ら何を創るか、どう開発するか、事業として成功するには何から手を付ければいいのか、といった「自ら考えて作る」ことが求められるディー・エヌ・エーのエンジニアに非常にマッチすると採用を決定しました。

入社後すぐに既存ソーシャルゲーム開発チームに参加。未経験のPerl言語も、ゲーム開発運用におけるDeNAプラクティスも、OJTで恐るべきスピードでキャッチアップ。1つのチームやタイトルでやり切った人から次の挑戦のチャンスが与えられることが多いディー・エヌ・エーで、渡辺さんはそれを矢継ぎ早に体現していっている1人です。ソーシャルゲームでのそうそうないトラフィックをさばく技術、ものすごくスピーディに回す開発のPDCA、既存フレームワークのリファクタリングでも貢献。これからも、スマートフォンアプリ・ブラウザなど、さまざまな技術領域での新規ゲームをリリースする計画がある中で、役割も技術領域もさらに挑戦を続けるリードエンジニアとして期待しています。

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提供:マイナビ転職
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2013年9月30日

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