マイナビ転職×@IT自分戦略研究所
「キャリアアップ 転職体験談」
第23回 コンサルへの憧れよりも
「日々、感謝される喜び」を重視し、日本オラクルへ
「転職には興味があるが、自分のスキルの生かし方が分からない」「自分にはどんなキャリアチェンジの可能性があるのだろうか?」――読者の悩みに応えるべく、さまざまな業種・職種への転職を成功させたITエンジニアたちにインタビューを行った。あなた自身のキャリアプラニングに、ぜひ役立ててほしい。 |
自分の「本当の気持ち」に向き合っているか | ||
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将来を考えて転職先を選ぶとき、あなたはどんな条件を重視するだろうか?
スキルを身に付けやすい環境か、収入アップが見込めるかなど、仕事内容や条件を吟味することは重要だろう。しかしその中で、「自分は何に喜びを感じるのか」という気持ちに向き合うことを、おろそかにしてしまう人もいるのではないだろうか。
「みんなが選んでいるから」といって、一般的に成功とされるキャリアパスに無理やり自分を押し込める必要はない。そのために本当の気持ちを無視するようなことになったら、理想のキャリアも道半ばで挫折しかねないだろう。
今回話を聞いた日本オラクルの吉原希美さんは、自分の気持ちに向き合うことで新たなキャリアを見つけ出し、「喜びを感じられる仕事」に巡り会えたという。
吉原さんの見つけたキャリアとは、どのようなものだろうか。
コンサルタントに憧れ、IT側からアプローチ | ||
吉原さんが大学を卒業して就職したのは2005年4月のこと。入社したのは独立系のシステムインテグレータ(SIer)だった。
「企業の業務改善を提案して経営に貢献するコンサルタントのような仕事に憧れていました。同時に、将来を考えて何か手に職を付けたいとも考えていました」という。具体的には、システム開発などのスキルを身に付けることをイメージしており、SIerに就職を決めたのは「企業の業務改善をITで支援したい」との考えからだった。
入社後、希望を上長に伝えると、「それならERPパッケージの仕事がいい」とアドバイスされ、Oracle E-Business Suiteの会計モジュール(以下、Oracle ERPパッケージ)の導入および保守を担当することになった。
ERPパッケージに関わる仕事ならば経営にも直結し、導入支援を通して顧客の課題解決に貢献できる。吉原さんにとって、絶好の機会だった。
実際に、顧客の業務の流れを把握し、アドオンの開発や保守、運用を行うことで、さまざまな業種の企業における業務課題に触れるようになった。また開発業務を通して、システム全般に関する知識やプログラミングスキルなども身に付けることができたという。
経験を積むうちに、チームリーダーを任されるようになり、チームのマネジメント、ソースコードや設計書など成果物の管理も行うようになった。
入社から3年も経つと、吉原さんにはOracle ERPパッケージに関する幅広いスキルが備わっていた。
スキルが高まるにつれ、当初の目標であるコンサルタントへの憧れも強まり、2008年1月に最初の転職をする。
もともとコンサルタント志望だった吉原さんにとって、転職はある意味予定していた行動だったといっていい。吉原さんが2社目に選んだのは、外資系のコンサルティングファームだった。
「周囲の人に感謝される喜び」に、新たな道を見いだす | ||
「コンサルティング業界への転職は厳しい」という事前情報を得ていた吉原さんは、自身の強みであるOracle ERPパッケージに関するスキルを武器に転職先を探したという。
そんなときに目に飛び込んできたのが「あなたのOracle E-Business Suiteの知識を生かしませんか?」という外資系コンサルティングファームの求人広告だった。吉原さんにとっては、まさに渡りに舟だった。
転職後は、コンサルティングファームという立場でOracle ERPパッケージの導入および保守業務を担当。要件定義、フィット&ギャップ分析から設計、テストまで、導入の一連の流れに関わった。
コンサルタントとして活躍するためには多くのことを学ばなければならず、道のりは長いと感じたものの、「周囲にコンサルタントを務める同僚が大勢いたため、目標に一歩近づけたという実感が湧きました」という。
前職の経験から、Oracle ERPパッケージの有識者という役割を常に求められていた吉原さんは、社内や顧客からパッケージについての問い合わせを受けることが多かった。
また導入に当たっては、技術検証に工数がかかりやすい部分などボトルネックとなり得るポイントを事前に把握し、提案するなどの工夫も忘れなかったという。
吉原さんの取り組みは、社内からも顧客からも歓迎された。あるとき、吉原さんは自身の気持ちの変化に気づいた。
「業務の中で、ふと喜びを感じる瞬間があったのです」と吉原さんは話す。「パッケージの有識者として誰かの疑問を解決し、 感謝される。それがとてもうれしいことに気付きました」。普段は厳しい上司も、Oracle ERPパッケージに関する質問に答えると、「よく分かった、ありがとう」と本当にうれしそうに感謝の言葉を返してくれた。「そんなとき、心から喜びを感じました」という。
「周囲の人の役に立ち感謝される喜びを、日々味わいたい」
吉原さんの思いはどんどん強くなり、やがて2度目の転職を決意する。
経験を生かし、現場視点のカスタマーサポートとして活躍 | ||
2度目の転職に当たって、吉原さんが考慮したポイントは次の3つだ。Oracle ERPパッケージのスキルが生かせること、人に役立っているという喜びを日々感じられること、ワークライフバランスを保てる環境であること。
自身のキャリアプランが明確化されてきたからだろうか、ワークライフバランスという観点が新たに加わった。次の仕事は長く続けていく、という吉原さんの気持ちの表れでもあった。
再び転職先を探すことになった吉原さんだが、日本オラクルについては、前々職や前職で、サポート部門に頻繁に問い合わせをしていたことから親近感があった。
加えて、たまたま知人が日本オラクルに勤務していて、社内の雰囲気などをいろいろ聞けたことも大きかった。活躍している女性が多く、在宅勤務制度を活用するなど、ワークライフバランスに配慮がある点にも好感を持ったという。
こうして吉原さんは、Oracle ERPパッケージのカスタマーサポート担当として、2011年7月に日本オラクルに入社した。
ここで、吉原さんのスキルが遺憾なく発揮された。以前はカスタマーサポートに質問する側であったため、質問者の状況が手に取るように分かるのだ。
質問を受けた途端、その背景、実際に現場で何が起きているのかというイメージが浮かぶ。これはパッケージ導入の全工程、アドオン開発、保守までをトータルに経験してきた吉原さんならではのスキルといえるだろう。
そこで、質問されたことにただ回答するだけでなく、「この質問が出てくるということは、こんな課題を抱えているのではないか?」と自らの経験を基に予測し、関連情報も積極的に提供するように心掛けているという。
かゆいところに手が届くという表現がぴったりの吉原さんのサポートに対し、「そこが知りたかった。丁寧に答えてもらえて本当に助かりました」というユーザーの声が、毎日のように返ってくるようになった。
「日々の充実感はとても大きいですね」と、吉原さんは現在の仕事に大きなやりがいを感じている。
「日々、感じたい喜び」を追求すれば、やりたい仕事が見つかる | ||
カスタマーサポートでは、海外の開発チームと情報交換することも少なくない。当然、英語力も必要になってくる。吉原さんは入社後、英語力を身に付けた。日本オラクルでは語学力研修が充実し、任意の時間に足を運んでネイティブスピーカーと会話ができる施設「英語カフェ」や、海外の価値観を学ぶ研修などが用意されているという。
しかし当然、英語力さえあればいいというわけではない。国によって業務の進め方が異なるところもあり、サポート業務においても悩みの種となることがある。
例えば、日本のユーザーは既存システムの動作検証が済まないうちはバージョンアップに踏み切らないケースが多いが、米国では何か問題が起きたとき、最新版にバージョンアップすることで解決を図るようなケースが多い。日本で何かシステムトラブルが起きたときに米国の事例を参考にしようとしても、なかなか適用できないことが多いという。
吉原さんは、こうしたギャップを埋め、日本におけるシステム導入現場やエンドユーザーの状況を踏まえつつ、ユーザーに最適な解決策を提示することを常に心掛けているそうだ。
そんな吉原さんに、今後の目標を聞いてみた。
「より一層、お客さまのかゆいところに手が届くようなサービスを心掛けて仕事をしていきたいです。また、海外の開発チームと情報交換をするうちに、海外に興味を持つようになりました。いつか、海外からの問い合わせを受ける仕事もしてみたいと考えています」と、現在の気持ちを屈託のない笑顔で話してくれた。
条件面で仕事を選ぶこと、成功とされるキャリアパスを追い続けることだけでなく、自分の気持ちに正直に向き合うことも、キャリア形成には重要なことなのだ。
「日々、感謝されたい。その気持ちを大切にしてきたことで、やりたい仕事に出会えました」という吉原さんの言葉に、そう気付かされる。
●人事に聞く、吉原さんの評価ポイント 吉原さんは、幅広い製品知識や前職での豊富なプロジェクト経験、特にチームリーダーとして協力会社の方も含めたマネジメントを行った経験を持っていました。これらの経験から、即戦力として当社に貢献できる点を高く評価しました。 また、コミュニケーションのスキルが高く、内外の折衝やお客さま向けのサポートなどを成功させていることに加え、学ぶ意識も高いため、当社での経験によりますます成長することを期待して採用に至りました。 今後は、活躍の場をさらに拡大し、社内外への影響力を持ったエンジニアに成長してもらいたいと思います。 |
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制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2013年5月31日
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