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マイナビ転職×@IT自分戦略研究所
新春Special 「日米エンジニア出身経営者対談」

第27回 ソーシャルに、コラボレーティブに、これからのエンジニアが目指すもの

「エンジニアよ、コラボレーションせよ」―― 自らもエンジニア出身社長でありながら、日本の技術者や企業を支援している日米2人の起業家が、これからのエンジニアが目指すべき方向と姿勢について語り合った。

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 2013年の年末、Platform as a Serviceソリューションを提供する「エンジンヤード」代表のティモシー・ロメロ氏、そしてプロジェクト管理ツールやコラボレーションツールを提供する「ヌーラボ」の代表、橋本正徳氏が東京に集まった。

 2人は代表取締役にして「現役のエンジニア」。プログラミングが今でも好きだという経営者たちは、現在、そしてこれからのエンジニア像をどう見るのか――。エンジニア志望の人、そして全てのエンジニアにこの対談を送る。

  社長だって学び続ける

ティモシー・ロメロ氏
Timothy Romero(ティモシー・ロメロ)氏

Engine Yard 代表取締役社長 米国ワシントンDC出身、1990年代初めに来日。20年間に日本で4社を立ち上げ、サンフランシスコを拠点とする数社の新興企業にも関わってきた。現在はPaaSベンダー社長として、日本の革新的なベンチャー多数の成功をサポートしている。

 対談は、橋本氏がロメロ氏に「今年は何の言語を?」と話題を振るところからはじまった。ロメロ氏は1年に1つ、新しい言語やフレームワークを勉強しているそうだ。2013年に学んだのは、数値解析処理で注目の集まる「R」。「面白いよ、スキルアップとしてはお勧めしないけど(笑)」(ロメロ氏)。

 スキルアップを続けること、新しい知識を得ることは、良いエンジニアであるために重要な行動だというのが2人の共通認識だ。橋本氏はそれに加え、「実際に何かを作ること。最近はいいフレームワークがそろっているから、エンジンヤードやグーグル、アマゾン・ウェブ・サービスのクラウドサービスを使えば、すぐにサービスやアプリを作れる。さらに、それを誰かに見せることが重要なポイントだ」と述べる。

 なぜ誰かに見せることが、重要なのだろうか。

 ロメロ氏はその理由として「コラボレーション経験の大切さ」を挙げる。開発は1人きりでするものではない。たとえ作業は1人で行ったとしても、その先には「使う人」の存在があり、コミュニケーションが発生するはずだ。「コラボレーションを経験することで、ユーザー意識やコミニュケーションのスキルも磨かれる」と強調する。

 「もし仕事では1人プロジェクトしか経験できないのなら、仕事外でオープンソースプロジェクトに参加してみたらどうだろうか。今は多数のオープンソースプロジェクトがある。もしスキルが足りなくても、パッチを送る、テストに参加するなど、手軽に参加できる部分はいっぱいある」(ロメロ氏)。

 ロメロ氏は、2006年ころからオープンソースコラボレーションプロジェクト「Hula」に参加していたという。当時、オープンソースプログラマーがよく使っていたのは「SourceForge」というWikiやバージョン管理などの機能を持ったソースコードリポジトリで、その時代においては先端を走る機能を持っていた。橋本氏は「今ならGitHubのアカウントを取って、実際にプロジェクトに参加することをお勧めしたい。デベロッパー向けのSNSみたいな機能があって、ソースのやりとりが簡単なツールだ」と言う。OSS(Open Source Software)ならば、自分ができる範囲で世の中のプロジェクトに参加し、自分の場所を作れるからだ。

  エンジニアよ、コラボレーションせよ

橋本 正徳氏
橋本 正徳氏

ヌーラボ 代表取締役 福岡県出身。劇団主催、クラブ・ミュージックライブ演奏、建築業、広告デザイン、八百屋、プログラマーを経て、2004年にプロジェクト管理ツール「Backlog」やコラボレーションツール「Cacoo」を提供する「ヌーラボ」を起業。福岡発のテクノロジーとクリエイティブのフェスティバル「明星和楽」主催。

 橋本氏は「いわゆるSI事業者や、大企業にいる人も、何らかのOSSプロジェクトに参加するメリットは大きい。大企業はなかなか新技術を仕事で扱えないので、OSSに参加することで最新技術を経験できる」と強調する。

 ロメロ氏も「例えば転職するときに、案件のリストだけではなく、OSSの活動リストが履歴書にあれば、そのエンジニアはリスペクトされる。とても価値のあるエンジニアになれる」とOSSへの参加を推奨する。

 では、どのプロジェクトや言語がキャリアにつながるのだろうか。これには2人とも「何でもいい」と口をそろえる。「何が流行っているのかを気にするのではなく、自分の好きなもの深く掘り下げるといい。好きな言語の方がコーディングがうまくなるしね」(ロメロ氏)。

 規模の大きなOSSプロジェクトは日本にユーザーグループがあり、各地で勉強会が開催されている。「勉強会に行けば顔が広くなるし、ネットワークが広がる。Ruby、iOS、PHPのプログラマーなら特に勉強会はお勧めだ」(ロメロ氏)。「日本のWordPressイベントなどは、米国を超えるほどの人数が集まる。PHPやRubyの大型イベントなどは海外からも参加者が来るほどだ」(橋本氏)。

  技術+αが必要な時代

 2人は、5年ぐらい前からコミュニティ活動が活発になったと振り返る。きっかけの1つは、Rubyを基にしたフレームワーク「Ruby on Rails」の登場かもしれない。それがたった1つの理由ではないが、このころからエンジニアを取り巻く環境全般に大きな変化が起き、エンジニアが自律的に動きやすくなったというのだ。

 「OSSへ参加することが、そのころからカジュアルになったと思う。個人としてOSSに参加することは自分の力になる上に、楽しい。自分の好きなプロジェクトに携われる。いい製品、いいサービスを作りたいという思いでエンジニアになった人には特に刺激になるはずだ」(橋本氏)。

 橋本氏が代表取締役を務めるヌーラボでの採用ページには、歓迎するスキルとして「オープンソースコミュニティなどでの活動経験」が明記されている。「OSSに関わっていれば、プログラムを書く、レビューを受ける、反応を見るといったことを経験しているはず。何より、自分の好きなことを仕事にしている人を採用したい」(橋本氏)。

 OSSの参加につまずいている人の多くは、「誰かに見せること」が恥ずかしかったり、怖かったりするのではないかと橋本氏は推測する。「でも、作ったものがあれば見せたくなるはず。怖い、恥ずかしい気持ちを持っていることは珍しくないけれど、そこを乗り越えて、人に見せて、フィードバックをもらって、何度でも作り直す。もし自信がなくても、スキルを磨くには絶好の場なので、最初の1歩を頑張って踏み出してほしい」(橋本氏)。

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提供:マイナビ転職
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2014年1月31日

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